反物質Ⅲ 反物質Ⅲ 第14章 郁子の証言
男鹿の朝は、東京の雨とは違う匂いがした。海から上がる湿った風に、古い木造家屋の匂いが混じっている。慎一は玄関の前で少し立ち止まった。ここへ来るたびに、時間が戻るような感覚がある。茜と蒼真を連れて帰った日のことも、母が黙って茶を出した日のこと...
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